大人の修学旅行2014 in 京都 ②桂離宮の謎

2014/01/29
鹿嶋市在住のガーデンデザイナー、ボスこと溝口 望です。

大人の修学旅行1日目は、桂離宮に伺いました。
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松琴亭を池の反対側から臨んだところです。

宮内庁管理の桂離宮。
ガーデンズの宮本里美さんから、「お庭のお仕事をしているなら、必ず見ておかなきゃねっ!」とお言葉を頂いて、以前から楽しみにしていた日本を代表する回遊式庭園。里美さんと寿子さんとご一緒させていただき、ワクワクしながら私も回遊してみました。

昨年イギリスに行った時のハイグローブと同じく、事前の申し込みが必要です。
集合時間ピッタリにご案内が始まります。
一つのグループは約30名。
ご案内下さるガイドさんが1人、そしてグループの最後にも護衛の方が1人つきます。
ハイグローブも同じようにセキュリティーが厳しかったな〜。皇族や王室のための別荘のお庭ですから、本当によく似ていますね。
でも、桂離宮は写真を撮っても大丈夫なので、嬉しい!

「桂離宮には、たくさんの西洋的なデザイン要素が含まれているのよ〜、それから謎もいっぱい!」
と、個人的にたくさんの解説をして下さる里美さん。
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まずは、お二人の後ろにあるこの門。
古書院の入り口になる中門です。
この中門をくぐった先には「方柱切石」と呼ばれる、手水鉢があります。
今で言う、フォーカルポイントになるのでしょうね。
そして、この手水鉢の右側には、縁側が続いています。
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この「中門」と「方柱切石」の配置の角度は、約3.5度縁側に向かってずれています。
門をくぐって、この方柱切石にまっすぐ進もうとすると、遠近法によって、距離感が長く感じるんですって!
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遠近法を巧みに使い、素晴らしく計算されているんですね!

もう一つの遠近法がこちら。
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左右の障子をご覧ください。
何か気になりません?
建具屋さん、寸法間違っちゃったかな?
いえいえ、こちらも遠近法。
柱の間隔や、障子の幅を変える事で空間の広がりを演出しているそうです。
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この写真の「御越寄」からみると、遠近法で広がりが感じられるよう、
そして、中門側からみると、目の錯覚で障子の幅が同じ間隔に見えるように工夫されているんですって!

すごい計算された遊びがいっぱいですね。

私が桂離宮で特に心惹かれたのは、このお庭の成り立ちと月との関係。
月を愛でる「観月」が、何よりも重要なイベントだったということ。
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この、月見台は名前の通りですが、桂離宮の書院群は1615年、桂離宮が作られたとする年の中秋の名月の月の出の方位を計算し、その角度である東南29度に合わせて、作られているというのです!

私も、お施主様のお庭をデザインする時に、
「お庭づくりは、目的が大切ですよ〜、お庭ができたら、ここで、何をしますか〜?お友達とティータイム?それともバーベキューですか?」などとお話ししながら、考えていきますが、月を愛でるための情熱、ここまで来ると贅沢な執念を感じます。

待ち望んだ月が東の山から登り、その月明かりが池に映り込み揺らぐ姿。
やっぱり想像しただけで、優雅極まりないですね!

う〜ん、一生に一度でいいから、桂離宮で観月をしてみたい!
と、切に願うボスでした。